レスポンシビリティ
2023 レスポンシビリティレポート
私たちのレスポンシビリティ・ミッション
私たちの基本的なミッションは、より責任ある未来への道を切り開く、進歩的なジュエリーハウスであることです。過去1年間で当社はより責任ある企業として大きく前進し、ジュエリー業界における変革をリードしていく責任に対する実感を改めて強くしました。
主なハイライト
2023年、私たちはウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030のメゾン・メンバーとなり、レスポンシブル・ジュエリー・カウンシルCOP認証を取得しました。また、国連グローバル・コンパクトに参画し国連の女性のエンパワーメント原則(WEPs)に署名を行いました。2023年の主な実績をここでご紹介します。
レスポンシビリティ・ロードマップ
私たちはトム・ウッドとジュエリー業界どちらにとってもより明るい未来を築くため、2025年までに達成すべき24の持続可能性マイルストーンを2023年に策定しました。その結果は私たちの期待を大きく上回るものとなり、2023年の終わりまでに24の目標のうち17が達成されました。
この前進に誇りを持ちつつも、私たちはここで満足し留まることはありません。これからも自らに挑戦し続けることを目指し、新たな追加目標を含む88の目標からなるトム・ウッドのレスポンシビリティ・ロードマップ2.0を発表します。
ロードマップを再定義するという取り組みにおいて、私たちは業界内の協働、そして国際的なベンチマークとの連携を強化します。当社は自信をもって国連グローバルコンパクトに参加し、国連女性のエンパワーメント原則を支持し、RJC認証を取得し、そして、先見の明のあるウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030の肝要なメンバーになりました。
この年の経験によって私たちの戦略は一層強化され、一部の目標についてはより大胆なスケジュールを設定する一方、ほかの目標についてはさらに時間をかけて取り組むことを決定しました。私たちは、PEOPLE、PRODUCT、PLANETへの取り組みを通じてポジティブな変化を推進し、最も大きなインパクトを与える分野で責任を果たせるよう努めていきます。 ロードマップ全文はここからダウンロードしてください。
2024年に向けて、私たちはモメンタムを維持しながら、責任ある未来に向けた旅を加速していきたいと考えています。当社の持続可能性への取り組みは揺るぎないものであり、それを突き動かしているのは、ビジネスのあらゆる側面で責任ある行動をするというコミットメントです。
2024年の主なゴール
1. 学びへの注力:
世界的なビジネス拡大の結果、当社はますますインターナショナルな存在になってきています。これは、世界中のオーディエンスに向けてパーソナライズされた学習アプローチを継続したいと考えている私たちにとっての挑戦を意味しています。私たちは2024年にオンラインのトレーニング・プラットフォームを立ち上げ、この責任を果たす旅から誰も脱落しないようにすることを目指しています。
2. トレーサビリティ:
2024年の最優先事項はトレーサビリティです。当社はトレーサビリティのある金属を基盤としつつ、カラージェムストーンについては30%、ダイヤモンドについては100%のトレーサビリティを達成するという目標を設定しました。
3. 循環性を受け入れる:
2024年は循環性に関するアイデアを実行に移す年であり、本年の後半に開始予定のクローズド・ループプロジェクトを皮切りに、私たちのお手入れ&修理プログラムをより良いものにします。
4. 継続的な炭素削減:
私たちはビジネスを引き続き拡大しようと野心に計画していますが、同時に二酸化炭素排出量の削減も継続するという目標を立てました。2024年には、全体のフットプリントをさらに10%削減することを目標としています。
5. 私たちの声の活用:
私たちは、レスポンシビリティについての対話を続けていくことが自分たちの責任であると信じています。 これまでは保守的なアプローチを取ってきましたが、2024年は我々のプラットフォームをさらに活用し、私たちの取り組み、直面する課題、その中で見つけた解決策についてお伝えしていくことを目指します。これまで私たちが多くのことからインスピレーションを得てきたように、今度は私たちが他者へインスピレーションを広げていきたいと考えています。
国連の持続可能な開発目標
国連の持続可能な開発目標 (SDGs) は、2030年までに貧困を撲滅し、地球を守り、すべての人々に平和と繁栄を保証することを目指す世界的な呼び掛けです。貧困、不平等、気候変動、環境などの重大な地球規模課題に対処する17の目標が含まれています。SDGsは持続可能な開発のための包括的な枠組みとして機能します。
私たちの業界が抱える課題は、一人で解決するには大きすぎます。ジュエリー業界は伝統的に競争が激しく、持続可能性の課題は個々の企業が個別に取り組むにはあまりにも膨大すぎるのです。ビジネスに競争が伴うのは当然のことですが、持続可能性に関しては競争ではなく協力をすべきであると私たちは信じています。
ウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030
トム・ウッドは、カルティエとケリングがレスポンシブル・ジュエリー・カウンシルと提携して始めた革新的な取り組みであるウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030(WJI 2030)に参加できることを誇りに思っています。
世界的な持続可能な開発目標(SDGs)と持続可能な産業への願いは協力によってのみ達成できるという共通の信念に基づいて、このイニシティブは主要な関係者を団結させ、気候変動に対するレジリエンスの構築、資源の保護、包括性の促進という3つの野心的な共通の目標に取り組むことを目的としています。
ケリングとカルティエによって設立されたWJI 2030は、共通の目標、フレームワーク、方法論を構築しながら、主要な持続可能性問題への取り組みについて、競合しあう業界内の企業を団結させることを目的としています。この先見の明のあるグループは21社のメゾンメンバーから構成されますが、私たちはその一員として、競争を一旦脇に置き、有意義な集団的な進歩を目指しています。トム・ウッドとこのイニシアティブがどちらも前進していく中で、私たちは引き続き見識を共有し、他者にも同様の行動を奨励し、持続可能性に向けた全体的な歩みを加速することを目指します。
持続可能性に対する当社の総合的なアプローチは、PRODUCT、PEOPLE、PLANETという3つの主要な柱に焦点を当てています。
人々
私たちは、トランスパレンシー(透明性)、インクルーシブネス(包括性)、アカウンタビリティ(説明責任)の文化の醸成を目指しています。トム・ウッドは、社会的責任と環境的責任はコインの表裏の関係にあると捉えています。 すべてのトム・ウッド製品の背後には、私たちが大切にしている人々の存在があります。私たちのチームとサプライチェーン全体に対して公正、安全、健康的な労働条件を確保することは私たちの最大の責務です。
私たちのカルチャー
私たちの責任を果たすための旅において、トム・ウッドは環境への責任だけでなく、包括的で多様性のある職場を育成することも優先事項ととらえています。当社は従業員を最も重要な資産であると認識し、誰もが職業的、経済的、社会的に成長できる空間の促進に尽力しています。こうしたアプローチは、職場を豊かにするだけでなく、イノベーション、エンゲージメント、従業員満足度を通じて当社をさらに前進させる上で重要であると信じています。
インクルージョン&ダイバーシティ
私たちの目標は、自発的に貢献する意思を持った多様な従業員が集まるインクルーシブなラグジュアリーブランドとして認識され、人々から選ばれる雇用主になることです。私たちは、多様な労働力がより優れたクリエイティビティ、イノベーション、よりスマートな意思決定を促すと信じています。個人、部門、そして組織レベルでのキャリア開発だけでなく、採用プロセス、昇進、福利厚生、給与に重点を置き、職場内の平等、一体性、多様性を積極的かつ体系的に推進しています。
当社の経営陣の少なくとも50%が女性であることを私たちは誇りに感じています。これは私たちが達成した目標のひとつであり、今後も維持する予定です。これを取締役会にも反映させるべく、2024年から取締役会メンバーの3分の1を女性とすることを決定しました。
私たちのジュエリーサプライヤー
私たちは協力を重んじ、業界が直面する課題には共同で対処する必要があると信じています。ジュエリー業界が将来の世代のための本質的な改善を行うためには、持続可能なイノベーションと体系的な変革が必要です。そしてそれは協力を通じてのみ可能となります。当社はサプライヤーと提携を結ぶ際、サプライチェーンにおける持続可能性と説明責任への取り組みに対して私たちと同じ志を有するサプライヤーを意識的に選択しています。デューデリジェンスの取り組みを拡大するにあたり、サプライヤーが当社とともに成長することを奨励しています。
製品
当社のビジネスの中核は、環境に配慮した高品質の製品の製造です。当社の持続可能性への取り組みは、デザインから製造に至るまでフットプリントの影響を最小限に抑え、持続可能性と耐久性を備えたジュエリーをつくることに重点を置いています。
私たちの製品の素材
シルバーとゴールドは、トム・ウッドのジュエリーに最も多く使用されている金属です。昨年、私たちはヴァージンメタルからリサイクルメタルへの移行を完了し、排出量を90%以上削減しました。 当社が使用する宝石とダイヤモンドは世界各地で採掘されたもので、レスポンシブル・ジュエリー・カウンシル(RJC)認定サプライヤーによって認定された信頼できるサプライヤーを通じて調達されています。ワールド・ダイヤモンド・カウンシルの保証システムの原則に従って調達された天然のポリッシュ・ダイヤモンドのみを使用しています。
デザイン&イノベーション
各ジュエリーは持続可能性と耐久性を念頭につくられています。当社は、製品と製造技術の両方を強化する革新的なソリューションを積極的に模索しながら、デザインプロセスにも持続可能性を取り入れることに尽力しています。トム・ウッドは、伝統的なクラフトマンシップとデジタルイノベーションの相乗効果を信じています。それを示す一例として、3Dプリンターとレーザー彫刻機を備えたインハウス・ラボに投資しています。
トレーサビリティ
真に愛されるジュエリーを作るには、それがどこから来たのか、どのように作られたのかについても納得いただけることが重要です。当社はすでに貴金属のトレーサビリティを100%達成していますが、2024年末までに宝石については30%、ダイヤモンドについても完全なトレーサビリティを達成できる見込みです。
責任ある生産
生産に対しては、サプライヤーと同様の責任があります。当社の主要なジュエリーメーカーはすべてRJCの認定メンバーであり、コードオブプラクティスの監査を受けています。2023年に私たち自身もこの監査を受け、その結果、このフレームワークが持続可能なビジネスの強固な基盤であると認識しました。
プラネット
当社は、環境への影響が最も大きい分野に重点を置き、グリーン移行に断固として取り組んでいます。
私たちの排出量
トム・ウッドの2023年の全体的な温室効果ガス(GHG)排出量は356 tCO2eでした。これは2022年から22%の削減です。tCO2eは、温室効果ガス排出量の計算に使用される単位です。
スコープ 1: 直接排出
所有または管理している施設からの排出。所有または管理している施設からの排出。
スコープ 2: 間接排出
企業や組織が使用する購入したエネルギーの生成による排出量。例: 調達した電気、熱、蒸気。
スコープ 3: バリューチェーンの間接排出
企業のバリューチェーンで発生する排出量(上流と下流の両方の排出量を含む)。 上流排出とは、購入した商品やサービス、商品の倉庫への輸送、ビジネストラベルからの排出など、企業のサプライヤーの活動に由来する排出を指します。 下流排出は、顧客への製品の輸送、販売された製品の使用、製品の使用終了に伴う活動など、製品が企業の所有権から離れた後に発生します。
ジュエリーの製造
2023年には、当社のジュエリー生産によるGHG排出量は79%の大幅削減に成功し、CO2eは147.7トンから30.8トンにまで減少しました。 この削減が達成できたのは、100%リサイクル金属への移行が主な要因です。当社はすでに2022年に64%のリサイクル素材を導入していましたが、2023年にはゴールドとシルバーについても完全リサイクルへの移行が完了しました。プレーティング用の金属については、2023年半ばからリサイクルロジウムに移行し、その結果、年間のリサイクルロジウムの使用率は56%となりました。残りの44%はヴァージンのロジウムで、移行が完全に実施される前の期間を反映しています。
ジュエリーは、2023年の温室効果ガス総排出量の19%を占めます。
サプライヤー行動規範
当社はサプライチェーン全体を通して最も高い社会基準を採用することを推進しており、すべてのサプライヤーに対し、我々のサプライヤー契約およびサプライヤー行動規範に示されている原則の遵守を求めます。当社の行動規範は、ILO条約、国連人権宣言、ビジネスと人権に関する国連指導原則に基づいています。
当社のサプライヤー行動規範は、サプライチェーン全体における持続可能なビジネス・プラクティスとアカウンタビリティを促進します。私たちは行動規範を毎年見直し改定することで、それらが常に最高の基準に沿っていることを保証します。 2022年の改定では、ジュエリー業界における以下の高リスク分野への重点強化を決定しました。
トランスパレンシーとノルウェー・トランスパレンシー法
当社は、お客様が購入に関して十分な情報に基づいた選択を行うことを推奨します。当社は、サプライチェーンの各段階について可能な限り詳細を提供することに尽力しています。この目的を達成するために、当社は進化するESG (環境、社会、ガバナンス) への取り組み、公正な労働慣行、および倫理的なビジネス基準に関する完全なトランスパレンシー(透明性)を確保します。
2021年6月、ノルウェー議会はノルウェー・トランスパレンシー法を制定しました。この法律は、企業に対し、自社事業およびサプライチェーン内で人権と適正な労働条件を確保することを義務付けています。私たちはこの取り組みに心から賛同します。この法律は製造業者に対する詳細の開示を義務付けてはいませんが、当社は完全なトランスパレンシーを促進する選択をしました。
前例を示すために、私たちはトム・ウッドの全製品の製造元に関する情報をウェブサイト上で公開しています。 2023年に初めてこの法律について報告しました。 このレポート(ノルウェー語)はここからダウンロードできます。
苦情処理手続き
トム・ウッドは、サプライチェーン全体にわたって責任あるビジネス基準を維持することに尽力しており、当社の事業に関するあらゆる利害関係者の苦情に対処するための苦情処理メカニズムを作りました。
トム・ウッドは、あらゆる事件や苦情を速やかに検討・対処し、さらなる調査が必要とされる場合にはその解決に尽力します。厳格な行動規範に従う企業として、トム・ウッドはあらゆる苦情に最大限の敬意と注意を持って対処します。
手順は以下の通りです:
受領した苦情は、記録され、極秘情報として扱われ、関連する利害関係者に通知されます。 苦情は、申し立てられた違反についてできるだけ詳細に、また証拠書類が入手可能な場合はそれらを添えて提出する必要があります。 トム・ウッドは、苦情を報告した人に対していかなる方法でも報復を行いません。苦情は、responsibility[@]tomwoodproject.com宛にメールか、Tom Wood AS C/O Head of Sustainability, Sofienberggata 19, 0558 Oslo, Norway宛に郵送で行います。
これは、当社の2023レスポンシビリティレポートの抜粋です。これは、当社の事業運営およびサプライチェーンにおける当社の責任への取り組みについての包括的な見識をステークホルダーに提供することを目的としています。
この報告書は、トム・ウッドの持続可能性チームがCemasysと協力して作成しました。Cemasysは、サプライチェーンエンゲージメントと脱炭素化の分野での継続的な改善に向けた影響データと分析を提供します。